2014年8月26日火曜日

シエラレオネのエボラ出血熱 第4信

ルンサで頑張っておられるシスター吉田富美子さんから、次のようなメールをいただきました。日本のテレビ等では報じられない、生々しく、そして実に深刻な問題が含まれているように思います。ご本人の了解を得て、メールをそのままコピーペーストさせていただきます。 
                     代表 菅野勝治郎


 エボラ情報です。
 幸いにルンサには、噂はいろいろありますが、患者はまだ出ていないようです。一番大きな噂は、「神のヨハネ会病院に入院していたエボラ患者が死亡した」というものです。その情報が地方保健省に通報され、今、病院は21日間の封鎖監視下に置かれています。しかし、私は神のヨハネ会病院のブラザーに電話して直接確かめたのですが、「私がその患者を治療した。エボラの兆候はなかった。」とのことでした。誰が地方保健省に通報したのかは分かりませんが、とにかく、あと2週間は結果待ちの状態です。

 今、心を痛めている問題が二つあります。一つは「病院に行くとエボラ出血熱と言われて、注射で殺される。」と言う噂が広まり、病気になっても誰も病院に行かないことです。どの病院も、患者が来なくて大変ですが、一番の心配は、特にこの時期、マラリアとコレラ、サルモネラ系の食中毒が多い季節ですので、特に子供の手遅れです。私たち宣教クララ会のマイル91クリニックのシスター達も嘆いています。「もう少し早く連れて来れば助かるのに・・・。」と。エボラ出血熱で亡くなる人の数よりも、病院に行かないために、マラリアなどの病気で亡くなる人の数の方がはるかに多くなっているのが現状ではないでしょうか。本当に愚かしく、残念なことですが、これがシエラレオネの現実なのです。

 更に、もっと残念なエボラ問題があります。エボラ問題は単純ではないようです。政府の医療関係者の中には、感染者の数が増えれば補助金がそれだけ多くもらえるからという理由で、検査結果は皆ポシティーブにしようとする動きがあるのです。救急車で患者を搬送したから400,000レオン(100ドル)支払えとか要求して来るのです。
 企業その他の団体からの補助金も、町のチーフと担当者で山分けし、病院とか医療機関には一銭も届いていないようなのです。エボラ出血熱騒ぎを利用して一儲けしようとしている人が出初めているのが残念です。

 確かに、シエラレオネの国中にじわじわとエボラ患者が広まってきています。宇宙服のような服を着てエボラの治療にあたっている姿が日本のテレビニュースで繰り返し放映されていますが、あれは医療センターだけです。私たちの町では、あのような姿は一度も見たことがありません。海外のメディアは、表面だけを大げさに報道しているように思われます。しかし、このような状況ですから、エボラ出血熱の収束も簡単ではないと思われます。
 幸い、私どもの学校関係者はみな無事に過ごしていますが、国中のほとんどの学校で新学期がいつから始められるかまったく予想がつかないでいます。日本の皆さんのお祈りを切にお願いたします。
(追加のメール)朗報です。先週1週間の年の黙想を終えカイラホン修練院にもどったシスターからのニュースです。カイラホンの町の地域のエボラはコントロールされ、今週から学校が再開されました。5月から閉鎖されていましたので、これから3学期末試験が始まります。
 もちろん、国境なき医師団が尽力されているカイラホン・キッシィ地区では問題は続いています。昨日は、国境なき医師団の一員としてセネガルから参加されていた医師が感染し、今センターで働く医師団は、センターの中に隔離だそうです。それからケネマ地区は、問題の多かった隔離センターが閉鎖され、スペインから赤十字の医師団が到着し治療にあたっています。ルンサの友人からのニュースでは、日本からも薬が来るとのこと。こちらでもみな喜んでいます。
 今のところこの様です。どうぞ続けてお祈りをお願いいたします。
                   Sr.吉田富美子