2018年10月27日土曜日

シスター根岸のお墓参り


1027日、6年前の111日に帰天されたシスター根岸美智子先生のお墓参りに行きました。明け方の大雨も昼前には素晴らしい秋晴れとなり、シスター根岸がともに歩む会の前途を祝福してくださっているように思われました。

以下の文は、1回目の墓参会(2014年)の後に短報に載せたものです。今回の墓参に参加したスタッフで読み合ってシスターを偲びましたが、短報に再掲しようということになりました。(菅野)

 

 
神様 マリア様 私はたくさんの恵みに生
かされました。

すばらしい人々と 出会いました。

すばらしい家族、友人   
        感謝でいっぱいです。

すばらしい姉妹方    幸せ者でした。

私はこれからどうなるのでしょう。

すべて あなたにおまかせします。
     
感謝。      
        レティシア マリア

 

上記の文は、シスター根岸が召された後、遺品を整理した修道院長のシスター鴨居が病床に遺されたノートから見つけられたものだそうです。何月頃に書かれたものか定かではありませんが、縦書きの文を左から書き始めておられることから推測すると、意識の衰えが目立ち始めた9月頃のものではないかと思われます。

 この11月1日、シスターが召された日に、ともに歩む会のスタッフなど7名でシスターのお墓参りに行きました。朝から雨が降ったり止んだりする天気でしたが、私どもがシスターの墓前に立った頃には急に雨足が強くなり、シスターが何かを伝えたかったのではないかと思われました。お花を供えて、讃美歌を歌い、静かに黙祷するだけの簡単なお墓参りでしたが、この日初めてお会いした支援者の方とも祈りを合わせることができ、とても満たされた思いの一日になりました。

 

 下記の文は、2004年にシスター根岸が一時帰国された際に、玉川学園小学部で講演された内容の一部です。20数年前に起きた内乱の様子を、優しく小学生に語りかけています。今、シエラレオネはエボラ出血熱の感染拡大という大きな国難に遭遇しています。悲惨な内乱を乗り越えたように、この度のエボラ熱禍も乗り越えられるように、天に在るシスターの応援を期待します。

<前略> でも、残念ながら1990年頃から戦争が起こりました。最初に戦争を起こしたのは大学生です。シエラレオネの大統領を初め、偉い人達は「アフリカは貧しいんですよ。貧しいんですよ。」と言って、世界中の人たちから沢山のお金をもらいます。そのお金を貧しい人にあげないで、自分のポケットの中に全部入れてしまうんです。そのため、貧しい人はいつまでも貧しくて、お金持ちは大金持ちになってしまうんです。それを見た大学生たちが怒って、そういう政府を止めさせようと、正義感を持って反乱を起こしました。けれどもそれは束の間で、大学生たちの反乱軍は悪い心の人たちに利用されてしまったのです。

というのは、シエラレオネという国はダイヤモンドが沢山採れます。そのダイヤモンドに目を付けて、このダイヤモンドでお金儲けをしようと思う外国の人が、シエラレオネの隣のリベリアという国から沢山の兵隊をシエラレオネに送り込んで来ました。その裏には、アフリカ以外の国の指導者たちがいたわけです。

そのような経過で戦争が大きくなってしまいました。日本と違って小さな国、九州ぐらいの国ですから、徐々に戦争が激しくなり、1994年のクリスマスにはとうとう、私たちの住む北部ルンサに到着しました。私達はまだ学校で生徒たちに教えていました。そこへ、お手紙が来ました。「1213日、あなたたちの町を攻撃する。命が惜しかったら逃げなさい。残っている者は全部殺す。」という手紙です。ですから、私たちが初めてその手紙を受けた時に、殆どの人が逃げました。村に残ったのは、男の人と私たちだけでした。そして、とうとうその日がやってきました。鉄砲の音がドンドンしましたが、村の人達は一生懸命闘って反乱兵を追い返すことができました。

でも、反乱兵は増えるばかりです。本当でしたら、反乱兵は少ない人数だったんですけれど、シエラレオネ人ではなくて、よその国の人たち、それから麻薬で無理矢理に作られた兵隊がロボットのようになって、だんだん増えてしまったのです。そのために、反乱兵はどんどん多くなって、とうとう私たちは1998年の2月にルンサを追い出されてしまいました。

ジャングルの中を3日間逃げ回りました。そして、敵につかまりまして、わたしはこめかみに鉄砲を突き付けられて殺されるところでした。鉄砲で私の額を押して「お前を殺す、そしてここを焼き払う」と言いました。神父様ともう一人のシスターと私の3人は、もう本当にこれが命の最後だと思いました。そして、私は天に向かってお祈りをいたしました。その時に、一人の反乱兵に少し正常な心が残っていて、私たちの祈りを聞いて、「この人たちは神様の人だから殺すのは止めよう」と言いました。もう一人は「殺すんだ!殺すんだ!」と叫びましたが、私はそのまま手を挙げて「鉄砲の玉が来るのはいつだ」と思いながら祈り続けました。すると、とうとう正常な心の方の兵隊が勝って、私たちが振り向いた時には反乱兵の姿はありませんでした。その代わり、パスポートも時計もメガネも全部無くなっていました。

空っぽになって、ジャングルの中を歩いて、私はマラリアのために動けなくなってしまい、ハンモックに乗せてもらって助けてもらい、そして「国境無き医師団」に助けられました。そして、アリタリアの飛行機に乗せられて、ローマに到着したわけです。<後略>
 
    墓参会に参加した本部スタッフ