2018年11月18日日曜日

「貧しい人のための世界祈願日に寄せて


     ご聖体の宣教クララ修道会会員
          シスター白幡和子

シエラレオネは、西アフリカの大西洋側にあり、北海道よりもひと回り小さい面積の国です。1961年に独立を果たしましたがクーデターが頻発し、1991年からの内戦で7万人以上が死亡、48万人もの難民が発生したのです。2002年にこの内戦は終結しましたが、病院も学校も破壊されてしまい、平均寿命の最も短い国となってしまいました。
       子らとともに祈るシスター白幡

私が修道会から派遣された1974年には、シエラレオネは、まだ〝白人の墓場〟と言われていました。現在は、首都はもちろん大きな町には病院もクリニックもあって、死亡率はずいぶん減りました。ヤシ油、コーヒー、ココアなどの主産物のほか、ダイヤモンドや鉄、ボーキサイトなど地下資源が豊かな国ですから、それらをすべての人のために使えば人々の生活は潤うはずなのです。

 教皇フランシスコは、昨年から年間第33主日を「貧しい人のための世界祈願日」と制定し、去る613日に本年のメッセージを発表しました。その中で教皇様は、「主は貧しい人の叫びに耳を傾けるだけでなく、お答えになる」(詩編34参照)とおっしゃっています。
 私が働く北部の町ルンサーにも大勢の貧しい人がいます。若いお母さんで、一緒に住んでいるおばあさんの目が見えず、ご主人も姿を消してしまい、毎日人々の家を回って食事を恵んでもらっている家族がいます。ある先生は障がいのある二人の子を抱えながら、近所の身よりのない子どもたちの面倒もみています。

エボラ出血熱の発生によって、家族全員を失った6歳の子を村から連れてきて学校に行かせ、食事を与えているおばあさんがいます。エボラやその他の病気で両親を亡くした子どもたちを、人々は親戚でなくても引き取ってお世話をしています。

自分の食べ物が減っても子どもを放ってはおかないホスピタリティーの精神を、私は何度も見てきました。ここでは皆が助け合って生きているので、愛に満たされています。いつも空腹が何であるか知っているので、他人を思いやる心があります。

貧しい人、小さい人の中にイエズスさまを見て、私たちがもうひとりのシモンになってその人の十字架を運べるように、主よ、助けてください。 

(上記は、1118日のミサ用リーフレット『聖書と典礼』に掲載されたもので、オリエンス宗教研究所様の了解を得て、掲載させていただきました。)