2023年5月29日月曜日

シスター根岸の最期のことば・シエラレオネの教育事情

 “ともに歩む会”は、今年活動開始10周年を迎えています。会の設立記念日は特定せず、この1年間を10周年の記念の年としています。現在、会報40号の編集を進めていますが、39号に続いて10周年を感謝する紙面を目指しています。このブログでは、20131026日発行の会報第1号に掲載されたシスター根岸のインタビュー記事を再度紹介します。シスター根岸はこの年の111日に天に召されました。“ともに歩む会”は、シスター根岸のこのことばによって歩み始めました。 (菅野勝治郎)                  

 

      ありし日のシスター根岸

<シスター根岸の最期のことば>

♣ 支援者の皆さま、お元気でいらっしゃいますか。有明病院を退院してこの老人ホームにおりますが、皆さんが優しくしてくださいますので困ることはありません。まだ足が痛くて自分では立つことも歩くこともできませんが、週4~5回リハビリの先生も来てくださるので、希望をもってがんばっています。

♣ 「手を貸す運動」が終わりになるかもしれないと聞いた時には、支援が途切れるのではないかととても心配でした。前号(手を貸す運動ニュース98号)のお便りで「神様は私たちの計画を自由に変えられる」と書きましたが、今度の場合も同じですね。手を貸す運動が終わるということは、誰も予想すらできなかったことだと思います。

♣ 私がシスターとしてアフリカの地で長く働けましたのは、手を貸す運動の皆様のご支援のお陰です。どれだけお礼の言葉を言っても足りません。特に佐藤先生ご夫妻には、お世話になりました。本当にありがとうございました。

♣ これからは新しい会ができて、ご支援を続けてくださるそうで、とても嬉しいです。「ともに歩む会」、とても素敵な名前ですね。

♣ シエラレオネの子ども達は、まだまだ皆様の支援を必要としています。OLGの学校は大きくなりましたが、貧しくて学校に来られない子ども達も多くいます。幼い子どもたちには給食を続けてあげたいと思いますし、中高生には自分で工夫する指導も必要かと思っています。

♣ アフリカに戻って、やりたいことはたくさんありますが、今はただ一つ、「ただいま~!」と子どもたちの前に立ちたいです。

♣ たくさんの励ましやお見舞いのお便りをいただき、心よりお礼申し上げます。私はお返事を書くこともできません。すべて神様にお任せしております。どうか続けてお祈りくださいませ。  

♣ 皆様、どうぞお元気でお過ごしください。

             (2013817日)

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52728日のニューヨークタイムス紙にシエラレオネの教育事情のレポートが掲載されました(Nikolas Kristol report) 。本部スタッフの田中マルタさんが和訳して送ってくださいました。

 

シエラレオネ 教育制度の試行錯誤 

2018
年に Julius Maada Bio シエラレオネ大統領はすべての学校を無料にしました。
文部省大臣は36歳の女性でMoinina David Sengeh ,
アメリカのHavard University , M.I.T.mediaの卒業生です。

 国の予算の20%を使い学校のリフォームや、先生のお給料 その他の費用とするそうです。その結果、沢山の子供たちが学校に入学しました。

 しかし、この「フリースクール制度」(無償学校制度)は全部の地域に届いていません。現実には給食費、教科書代、授業料、などを取らなければやっていけない状態です。
 そういう費用を払えない子ども達が、クラスの前に立たされ、罰として5回のむち打ちをうけます。費用は一学期に3ドルです。大体50人のクラスのうち半数の、2425人が毎週この罰をうけます
 先生のお給料が、政府から届なかったり、足りなかったりで、この悲しい方法を使って保護者に払ってもらうしかないようです。
 シエラレオネ政府は真剣にこの状態をなんとかしたいと考え、もっと正式な資格を持った沢山の先生が欲しいと思っています。といっても予算が少ない中でいろいろな方法試みています。

 子どもが全員学校に通うのと同時に教育の質を上げる試みです。あれこれ試して失敗して、また新しいことをやってみる・・・期待されたプロジェクトで成果を見守ります。以上。

<学費を払えない子どもがムチで打たれるようなことだけは即刻禁止して欲しいと願います。
菅野


2023年5月1日月曜日

5月を迎えて

51日、現地に260万円を送金できました。内訳は、35月分の給食支援費210万円と、奨学金50万円です。奨学金の年間予算は150万円でしたが、今回は50万円だけの送金になりました。次回、8月(年度末)の送金時には残りの100万円を送金したいと願っています。8月には、給食費の残額140万円と、多目的支援費(予算100万円)も加わりますので、総額340万円の送金になります。かなり厳しい数字ですが、無理はできませんから、お寄せいただいた支援金を感謝して現地に送らせていただきます。年間ではおよそ1000万円の送金になります。本当に本当にありがとうございます。

 


 支援者の方から「生命(いのち)の旅、シエラレオネ」という本を紹介していただき、興味深く読ませていただきました。著者は国境なき医師団で活躍している加藤寛幸医師で、スーダンやシエラレオネでの医療活動に従事され今はウクライナで活動しておられるそうです。

この本では2014年にシエラレオネにおいてエボラ患者の治療に当たられた日々の記録を詳しく述べておられます。

最近は、私どももエボラという言葉はほとんど聞かなくなっていたように思われますが、その終息には国境なき医師団などの先生方の命を懸けた苦労があったことに改めて心打たれるものがありました。エボラ治療センターがあった場所は、カイラフンという地区で、ここは宣教クララ修道会の修練院のある町でもあるので、とても親しみやすく読むことができました。

 私は西アフリカでエボラが大流行した要因の一つは、人々が無知のためにエボラの隔離病棟に収容された患者を親戚の者たちが「あそこに連れて行かれると殺される・・・」と疑って夜中に患者を連れ出したり、埋葬された遺体を掘り起こしてきれいに洗って埋葬し直したりという行為があったらからだ・・・というようなことも聞かされていました。

 しかし、加藤医師の報告によると、快方に向かった患者が重篤な患者の世話をするような場面も沢山みられたし、子ども達が皆で励まし合って、けなげに生きている姿に、医師として葛藤の中にある加藤さんはたくさん励まされ、生きる力をもらったと書いておられます。

 私たちがシスター方の報告や写真を通して知っているシエラレオネの子ども達の姿とだぶります。この度のコロナ禍では、当初恐れたような大流行がこの地では起きなかったのは、この経験と人間力があったからではないでしょうか?(菅野勝治郎) 

         カイラフンのエボラ治療センター