2015年1月12日月曜日

エボラ出血熱 第9信

シスター吉田からの最新のメールによると、シスター方は修練院のあるカイラフンからルンサに戻り、早速村々を回って食料を配る活動を再開したそうです。
    

食料を届けられて喜ぶ親子

最近は、新聞やテレビで西アフリカのエボラ出血熱のことが取り上げられることがめっきり少なくなったように思われます。「どうやら、日本に住む我々には直接影響は無さそうだ」ということで、人々の関心がすっかり薄れてしまったのでしょうか。年末に、シエラレオネに1週間程滞在して帰国された30代の男性が帰国後に発熱し、エボラに感染した疑いがあるとの報道が流れました。しかし、検査の結果、陰性だったとのことで、このニュースも直ぐに消えました。この人は、エボラ熱で亡くなった人の埋葬に立会い、遺体の入ったビニール袋に素手で触ったとの話もありました。シスター吉田に聞いてみると、現地ではエボラによる死亡者の埋葬は、今では遺族でも遠くから見守ることしかできない状況ですから、日本からの短期の旅行者がそのようなことができるとは信じ難い、とのことでした。

お正月にいただいた年賀状には「シエラレオネのことが心配で
すね」「エボラ熱の終息をお祈りします」などと書いてくださる方が
沢山あり感謝でした。そんな中で、九州に転居したかつての教え
子からの年賀状に、「僕の学校でバザーの収益金をどこに送るか
を話し合った時、『ともに歩む会』を提案しました。」と書いてありま
した。その学校から確かに沢山の支援金を送っていただきまし
た。とても嬉しいことでした。

  WHOが発表するエボラ熱感染者の統計をメモしておきまし
た。下記の表の通りです。

                        10/5     11/12    11/21   12/19     1/7       
ギニア      感染者  1298人   1878    2047人  2453    2775人  
           死者      768人   1142人   1214人  1550    1782人  
           死亡率   59.2%      60.8%     59.3%    63.2%   64.2%
リベリア     感染者  3924人    6822人   7082   7819人   8157人 
           死者    2210人    2836人   2963人  3346人   3496人   
           死亡率    56.3%      41.6%     41.8%    42.8%     42.9%
シエラレオネ 感染者   2789人    5368人   6190人  8759人    9780人 
           死者      879人     1169人   1267人  2477     2943人  
           死亡率    31.5%      21.8%      20.5%    28.3%     30.1%

 定期的な数字ではありませんし、正確には人数を把握できていないことも予想されますので、細かい数字まで深読みするのは避けた方がいいかと思いますが、ギニア、リベリアは明らかに感染者、死亡者の増加に鈍化の傾向が見て取れます。それに比べて、シエラレオネはまだまだ勢いが衰えていません。それでも、11~12月より、12月~1月の方が若干減少傾向にあるように思います。しかし、死亡率が上昇しているのが心配です。
 私どもは、遠方にいると、どうしても数字だけを見て、一喜一憂してしまいますが、現地の人々にとっては、大事な家族や知人など一人ひとりの命に関わる問題であり、この数字の陰には、多くの人々の悲しみ、苦しみ、痛みそして恐怖があることを忘れないようにしたいと思います。

  ある支援者の方から次のような便りをいただきました。
「エボラ熱はシエラレオネの苦しみの一端でしかなく、これを克服した後に待っている苦難もきっと大きいことでしょう。シスター吉田達や生徒をはじめとする現地の人々の笑顔のために少しでもお役に立てたらうれしい一年になると思っております。」

 本当におっしゃる通りだと思います。私どもはこのエボラ熱禍が解決すれば、すべてが解決と思いがちですが、半年以上も閉鎖されている学校の再開を思うと、どれ程の困難が待ち受けているか、現地のシスター方のご苦労が思いやられます。

  今回のエボラ熱の爆発的な感染拡大の原因は、エボラウイルスの猛毒性に因るものというより、現地の人々の自分の文化に対する執着にあると考えられます。遺体を関係者皆の手で綺麗に水洗いして葬る習慣をどうしても止められず、政府のエボラ葬式チームが埋葬した遺体を掘り起こして村の習慣に従って埋葬し直すということが続き、初期の段階でのエボラ封じ込めができなかったと聞いています。また、魔女たちの集会があり、乗って来た飛行機が墜落して、その事故での死者だ、と言うデマを流してエボラを認めなかったり、占い・まじないも含まれたネイティブドクターに診てもらうために感染者が町から村に戻り、感染を広げることもあったともシスター吉田から聞きました。

  今度のことでは、シエラレオネの人々も多くのことを学ばれたと思いますし、新たな思いで歩み始められることと思います。私どもが、これからもシエラレオネの子どもの教育のために、「ともに歩み続けます」ということを示し続け、教育の充実に協力し続けることが肝要ではないでしょうか。

  シスター吉田は、順調にいけば、4月頃にはルンサのエボラも終息するのではないかとの見通しを持っておられます。まだまだ先の話ですが、その中で、一時も油断できない危険地域での支援活動を粘り強く続けておられるシスター方を応援し続けたいと思います。

  18日には、1月分の給食支援費と、今年度分のOLG校とマリアイネス職業センターの教育支援費(奨学金)などを送金することができました。ご支援に心より感謝いたします。



         みんながシスターの車を待っている

                                   (菅野勝治郎)