2014年10月13日月曜日

エボラ出血熱 第7信

シスター吉田にメールを送っても数日返事が無いと、エボラ熱に感染して隔離されたのでは・・・と心配になってしまいますが、そうでは無いようで胸をなで下ろしています。次のようなメールをいただきました。(菅野)


            シエラレオネの村の集落  

 ▼ 返信、遅れました。先週の金曜日から、日曜日を除き毎日お米配りに忙殺されています。朝の9時から2時過ぎ、時には5時過ぎまで。帰ってくると食事をし、シャワーをすると睡魔に襲われ、もうメールの返事をするのも大変・・・。こんな状態です。
 65歳を過ぎてからは、からだがなかなか言う事を聞きません。
今日、これから残りの何人かの生徒に配り、一応1回目のお米配りを終わりにします。最も心配な244名の生徒の家を訪問しました。
 「必要な生徒」にですので、当然なのですが、貧しいと言う表現を通り越して「貧困」いえ「極貧」、本当にここに住めるの? と言う状態の中に住んでいる生徒が大半です。
 特に村は大変です。ですから、25㎏の米一袋でも、大喜びで頭に乗せて、踊りながら家に入って行きます。
 そして、訪ねてみて改めて驚くのはその遠いことです。何時間歩いてでも学校に行って勉強したいという意欲だけはしっかり持っている生徒たちです。
また、もう一つ感心させられたのは、休校状態が続く今、小学生でも家計を助けるために、マーケットに品物を売りに出かけていることです。沼に魚を獲りに行ったり、母親とブッシュに食糧を探しに行ったりして、品物を手に入れて売ります。みなよく働いています。
 エボラ熱の感染者の数は確実に増え続けています。OLG学園、マリアイネス学園関係の名前を聞く回数も多くなってきています。私たちも細心の注意をしながらのお米配りです。



町の市場。今はこの賑わいは無いのかもしれない。
(写真は2枚とも菅野が7年前に訪問した時のものです。)

この頃ではルンサがだいぶ騒がしくなってきています。お米配りの最中に、先週の金曜日、はじめて、例の宇宙服に身を包んだエボラセンターのチームに遭遇しました。狭い道を通ってある村を訪ねて行ったとき、村の手前500m位のところで、突然あの姿を発見。運転していた手が思わず震え、足は自動的にブレーキを踏んでいました。実に怖い感じのする姿です。地元の人は、「葬式チーム」と呼んでいます。もちろん埋葬もしますが、埋葬をするだけでは無く、患者の運搬、地域の消毒などすべてをしてくださいますが、日本のニュースにもよく出てくるでしょう、あの防護服に身を包んだ姿は、実際に見ると何とも言えません。それからは、ほぼ毎日2回くらいずつ出会うような状態です。
 OLGとマリアイネス学園の生徒へのおコメ支援は、シスターエリサと3名の先生、そして私と3名の先生の2チームで、一軒一軒回りました。水の中を泳いでいくような悪路に悩ませられながらも無事に終わりました。昨日今日は、私と2名の先生で、主にルンサ市内の残りを回りました。外出禁止になっている家が、あちらの通りに一軒、こちらの通りに一軒・・・思っていたよりも多くあり驚いています。しかし、あれだけ喜ぶ姿を見ると、学校が始まるまではできるだけ続ける予定です。一緒に回ってくださった先生たちも、「日本の方たちありがとうと、感謝を伝えてください。」と口々に言います。先生たちも、お米配りができることをとても喜んでいます。
 多少のリスクはありますが、注意しながら、今月後半は、RC Boys200名に支援する予定です。8月分の給食支援金で丁度購入することができました。本当にありがとうございます。配布の様子の写真を送りたいと思ったのですが、貧しい現実を見ると、写真を撮る勇気もありませんでした。今回はお許しください。
                             (シスター吉田)

▼  インターネットに載っていたWHOの報告によると、10月5日
現在のエボラ出血熱の感染者数と死亡者数は次の通りです。
            感染者          死者
ギニア       1298人    768人
リベリア       3924人   2210人
シエラレオネ    2789人    879人
国土の広さや人口も違いますから、一概に3カ国の比較はできませんが、感染者に対する死者の割合を計算してみると、ギニアは59.2%  リベリアは56.3%  シエラレオネは31.5%になります。エボラの感染がニュースになり始めた当初、エボラ熱感染者の致死率は80%~90%との数字も見られましたから、国境無き医師団や赤十字等の懸命の努力がなされていることが伺われます。そして、シエラレオネだけが、隣国の2国に比べて半分に近い死亡率であることに驚かされます。なぜそうなのかは分かりませんが、先日、シスター ジョセフィンから報告のあった、カイラホン地区におけるお米支援や、OLG学園のシスター方の働きも、よい影響を与えているのではないでしょうか。エボラ出血熱に感染して完治した人は、抗体ができているので、完治後は看護や治療に大きな働きができるとも聞いています。

▼  リベリアでエボラ熱に感染したフランス人の看護師が、日本
の製薬会社(富山化学工業)が開発したインフルエンザ治療薬を
服用して完治したというニュースも流れています。この薬が大量
生産されて、西アフリカに届けられる日が待ち遠しい限りです。


▼ パキスタンのマララさんとインドのサティヤルティさんにノーベル平和賞が贈られるとのニュースはとても嬉しい知らせでした。マララさんはまだ17歳という若さでの受賞で注目を集めていますが、タリバーンに頭と首を撃たれ、瀕死の重傷を負うという前から、筋金の入った活動を続けておられたそうで、決して若すぎる受賞では無いようです。彼女の訴えは「教育によって地球の平和は作られる。女性にも教育を受ける権利を認めて欲しい。」ということで一貫しています。人間が人間として幸せな生涯を送るためには子供の時にしっかりと教育を受けることに始まる、何としても、すべての子供が学校に行けるようにしたい・・・というのは、シエラレオネで頑張っておられるシスター達の思いと全く共通するものであり、マララさんのノーベル賞授賞を契機に世界中の子供達の教育への意識が向上することを願っています。車の中で、マララさんの授賞を伝えるニュースを聞いていましたが、彼女のスピーチが“Walking Together” という言葉で締めくくられたのを聞いて、とても嬉しい気持ちになりました。    (菅野勝治郎)