「エボラ出血熱のこと、心配しています。」「エボラ熱の終息を祈るばかりですね。」などの言葉を添えて支援金を振り込んでくださる方が続いています。新聞等でも毎日の様に感染状況や先進国からの医療従事者の感染の様子などが報じられています。エボラ熱治療のために西アフリカに赴き、命を落とされた方々の貴いお働きに心から感謝し、ご遺族や関係の皆さまへの慰めが豊かにありますようにと、お祈りいたします。
シスターが届けたお米を受け取るカイラフン地区の人々
シスター吉田は、相変わらず超多忙で、その上、インターネットの状況も良くなく、まとまった報告文は届いておりません。シスター吉田やシスター白幡から断続的に入手した情報を繋ぎ合わせてご報告いたします。
私どもが最も恐れていたことが起きてしまいました。支援先であるOLG学園高等部4年生のカディアッツ カーボさんがエボラ熱に感染して隔離されてしまいました。しかし、幸いなことに完治して生還したそうです。しかし悲しいことに、彼女が家に戻りますと、両親、弟妹などすべての家族がエボラ熱で亡くなっていたそうです。
エリサ地区長が励ましに訪ねましたが、憔悴しきった彼女の姿があったそうです。カディアッツさんの今後については、現地のシスター方が全力でサポートしてくださると思いますが、必要があれば、こちらに届いている「エボラ対策支援金」で彼女の経済的なサポートもさせていただきたいと願っています。
ルンサの町全体で、エボラからの生還者が49名(11月10日現在)で、エボラの為に亡くなられた方の為に国が行う埋葬方法などが、死者への尊敬の念を持ったものに改善されたので人々も冷静になり、埋葬された遺体を掘り起こして二次感染を招くようなことは無くなりました。また、感染の心配のある人は、近くに設置されたエボラセンターに自分から訪ねるようになって来ているそうです。ルンサでは、一時は毎日聞かれた感染者を運ぶ救急車のサイレンの音も、あまり聞かれなくなったそうです。
シスター吉田は「国全体ではまだまだですが、少しですが希望の見えてきたルンサです。」と書いて来られました。
そして、シスターは今も貧困家庭へのお米配り等に忙殺されています。学校再開の見通しはまだ立っていません。
11月15日の新聞には「エボラは医療の力だけでは治せない。食料支援に、あなたの力を」という国連WFPの大きな広告が掲載されていました。今、現地でシスター方が行っている活動も、文字通りの草の根の食料支援として、シエラレオネの人々の大きな助けになっているのだと確認させられました。
前回、10月5日現在の西アフリカ3カ国の感染者、死亡者数を紹介しましたが、WHOは11月12日にもデータを発表しました。2つ合わせると下記の通りです。
10/5 11/12
増加数 増加率
ギニア 感染者 1298人 1878人
580人 1.45倍
死者 768人 1142人 374人
1.49倍
死亡率 59.2%
60.8%
リベリア 感染者 3924人 6822人 2898人 1.74倍
死者 2210人
2836人 626人 1.28倍
死亡率 56.3%
41.6%
シエラレオネ 感染者 2789人 5368人 2579人 1.92倍
死者 879人 1169人 290人
1.33倍
死亡率 31.5%
21.8%
WHOのデータも、発表後に修正されることもあるようですし、シスター吉田が11月3日にシエラレオネの保健省が発表したデータとして知らせてくださった数は
感染者数、4059名 死者、1085名、 完治者、823名でした。
ですから、数字を深読みし過ぎてはいけないと思いますが、シエラレオネの感染者数は約1ヶ月で約2倍と、恐ろしい勢いで増え続けていること、しかし、完治する人の割合が高いことは明確です。感染の拡大が抑えられると、シエラレオネのエボラ終息の先は見えて来るように思いますし、そうなることを祈ります。
配給されたお米を手にするのはエボラ熱から生還した婦人
上記3カ国の今年の人口は、ギニアは1113万人、リベリアは408万人、シエラレオネは610万人です。これによって、人口1万人当たりの感染者数を計算してみますと、ギニアは1.7人、リベリアは16.7人、シエラレオネは8.8人ということになり、西アフリカ3カ国でも、随分異なった感染状況であることが分かります。ギニアは、人口に対する感染者の割合は低いのですが、感染者の死亡率はとても高くなっています。
ちなみに、人口が1億2654万人の日本で、シエラレオネと同じ割合でエボラ熱の感染者が発生したとすると、111,355人という膨大な数になってしまいます。
しかし、シエラレオネ等と比較的近い位置にあるナイジェリアでは、20人の感染者と8名の死亡者が確認されたのを最後に、新たな感染者が出ないで、国も終息宣言を出しました。ナイジェリアがなぜそのように短期間に終息することができたのか、各国の指導者は懸命に研究していると思われますが、アフリカ内における経済力や教育力の差が、この結果を生んでいると考えるのは、あまりにも短絡的過ぎるでしょうか。
私が7年ほど前に、ルンサのOLG校を訪問した際に、同校にはナイジェリア出身のシスターも数名おられました。彼女たちと親しく話ができた訳ではありませんが、アフリカ出身のシスターとしての自信を持って仕えておられた姿が思い出されます。エボラ熱禍からの脱出の為に、先進国の支援に頼るだけでなく、アフリカの人々皆の力を結集するという機運が高まれば、今後のアフリカの発展の大きな力になるのではないでしょうか。そのような事も期待したいと思います。
シエラレオネの子どもたちの笑顔が消えてしまいませんように
カイラフン地区へのお米配給を終えて、
右はエボラ第6信を書いたジョセフィン・カマラ修練院長
私が7年ほど前に、ルンサのOLG校を訪問した際に、同校にはナイジェリア出身のシスターも数名おられました。彼女たちと親しく話ができた訳ではありませんが、アフリカ出身のシスターとしての自信を持って仕えておられた姿が思い出されます。エボラ熱禍からの脱出の為に、先進国の支援に頼るだけでなく、アフリカの人々皆の力を結集するという機運が高まれば、今後のアフリカの発展の大きな力になるのではないでしょうか。そのような事も期待したいと思います。
シエラレオネの子どもたちの笑顔が消えてしまいませんように
右はエボラ第6信を書いたジョセフィン・カマラ修練院長
文責 ともに歩む会代表 菅野勝治郎