2016年9月24日土曜日

会報13号を掲載しました。Sr.エリサ地区長とSr.吉田からの便り



会報の13号を掲載しました。
今回は、シスター吉田が悪性の風邪に罹り、会報の入稿日に原稿が届きました。会報では別刷りを同封しましたが、以下がシスターエリサ パデイーシャ地区長とシスター吉田からの報告文です。シスター吉田は、今はもうすっかり元気になられて「また、毎日走っています。」とのメールが入りました。
この文の下に、英語とスペイン語の要約も掲載されています。



シエラレオネ・ルンサから    2016年9月4日 
                              
            宣教クララ修道会シエラレオネ地区
                                        地区長 シスターエリサ パディージャ


   信じられない時の流れの速さ、今年も又、年度末を迎えています。 聖ペトロが、主キリストに向かって言った「あなたのみ名に信頼して網を打ちましょう。」との言葉を、私は、何回も繰り返しています。なぜなら、人々の必要と期待は、わたしたちの活動にかける希望となり、人々に私たち自身をささげるのに十分な原動力となります。しかし、どのようにして人々の期待に応えられるのでしょうか。それは、皆様一人ひとりからいただくご支援によって可能となります。今年度も、以下の通り報告いたします。

◆ 給食支援。例年の通り給食支援は、皆様から頂く最大の支援です。今年度は、総額990 万円で、幼稚園と小学校の給食に必要なすべての材料・お米、野菜、豆類、調味料、魚、トマトペーストなどの購入に当てられました。中学部は、遠距離通学の村からの生徒で、(通学時間は最低でも2時間、長い生徒は4時間以上かかっています。)約30名が給食プログラムに入っています。この生徒たちのために、ルンサに住めるよう教員宿舎の空いているところを準備し、週末だけ村に戻ります。勉強時間が十分に取れるようになりましたので、もちろん成績は、驚くほど良くなりました。

◆ OLG校の多目的支援。100万円。今年度は、主に学園の施設の整備に出費しました。特に、図書室の整備。これにより、自慢できる程の、生徒に貸し出しできる教科書を備えることが出来ました。もう一つは、コンピュータクラスです。卒業すると、大学生になっても、就職しても直ぐにコンピュータが必要な時代ですので、特に高校生のコンピュータクラスは、重要です。                  
MI校の多目的支援、100万円。Sr.Leticia Legacyの制作費用に使いました。これは、シスター根岸の記念のステッカーを貼って、ガラ(ろうけつ染の一種)布や人形、小物他を作り、外国からの訪問者にお土産として販売します。一部は、卒業生のアイサタ カビアさんが経営する空港のお店にも出しています。


◆ 教育支援・奨学金、100万円。今年度は、エボラ災害の影響で延期されていた学年の卒業試験も重なり、神の聖ヨハネ会看護学校から、ジェネバ カビアが卒業して、マイル91のクリニックで看護師として働きます。マグダレン ビマベは、マケニ大学家政学科を卒業し、OLG校の先生になる予定です。ハワナツ カマラは、マケニポリテクニック教員過程を卒業しOLG校で教える予定です。ラワマツコロマはマケニ大学を卒業しました。他に、看護学校2名、ンジャラ国立大学公衆衛生学科1名、ホーラーベイ大学・フリータウン1名、マケニ大学4名の奨学生が勉強を続けます。
 MI校も、100万円の支援を受けました。特に職業センターの10名は、全額支給の奨学生です。途中からの奨学支援15名が追加されました。鉱山の閉鎖が長引き、家族に収入がなくなってしまい、学費が払えなくなってしまった生徒たちです。それと卒業国家試験の自習費用は、受験生全員に援助しました。この卒業試験は、国レベルですので重要ですが、普通の授業料のほかに追加で支払わなければなりませんので、学生にとっては支払いが困難です。合格すればそれぞれのコースの資格証明書が得られ、就職に有利になります。こうして、少しずつですが、女性の尊厳と誇りを高める助けとなっています。


◆ 玉川白百合幼稚園もお陰様で毎年収容しきれない程入園希望者が殺到しています。現在、278名の園児が、毎日元気に登園して来ます。今年は、トイレの補修、遊具の整備、教室の家具と机・椅子の補修、教室入り口のドアーの補修、窓の補修に、60万円を当てました。長年補修をしていませんでしたので、窓もドアーも随分穴が開いていましたので、板を張り替え、ペンキで仕上げをすると、ずいぶんきれいになりました。
 また指定支援金でいただいた30万円で、各校舎の屋根の補修(塗装)を行いました。


◆ エボラ孤児支援・100万円。先学期は、エボラ災害の最後の痕跡が残された年でありました。1月から新学期が始まり、実質授業は6月まで、何とかして遅れている授業を回復する試みの期間でもありました。少なくない数の生徒が、まだエボラ災害の影響から抜け出していませんので、私たちは、これらの生徒に同伴するよう努め、それは心理的ケアだけでなく、経済的ケアも合わせてしています。この支援は、OLG・MI両校におよびます。鉱山の仕事によって多くの家庭が経済的に安定してきたのですが、エボラ災害に伴う鉱山閉鎖は、経済的に後戻りとなり、多くの家庭は空の手で生活することとなってしまいました。皆様からの御支援で、エボラ孤児だけでなく、エボラ遺児などにも物心両面の支援を続けていけます。


◆ 医療支援・50万円。生徒たちの健康を保つこと、これも、もう一つのチャレンジです。今年度は、下記のような重病の生徒の支援をしました。
♥ ローズ メリー カヌは、6か月以上卵巣がんと闘いました。命を助けるために3回の手術を受けました。しかし、多くの地元の人々は家で亡くなるのですが、ローズメリーも自分の家で静かに眠るように息を引き取りました。
♥ ビルキス カマラは、高校最終学年の4年生で、今西アフリカ共通卒業試験を受けていますが、肝炎で苦しんでいます。顔色は黄色です。
♥ アイシャツ カマラも高校最終学年で、今、西アフリカ共通卒業試験を受けています。自分の未来に全力でチャレンジしていますが、病院の医師団は、生き延びる希望を保証しません。彼女の心臓は、いつでも鼓動するのを止める状態です。アイシャツも自分の状態を知っています。その発作が来ると、アイシャツは、「私を死なせないで!」と一言叫びます。私たちも度々お見舞いし、希望を失わないよう一緒に祈ります。  
皆様からのご支援で可能になったほんのいくつかの症例を書きました。死の現実が日常茶飯事のように、そこかしこに転がっている所で、人々に希望を示し続けるには、信仰と勇気、そして、皆さんのように、私たちに支援の手を伸べてくださる友人たちが必要です。 


◆ クリスマスランチ・254,500円。通常ですと1学期の修了式とグアダルッペ祭を兼ねて、ルンサの町中をうたいながら行進するのですが、今年はまだエボラ災害が完全に終息していませんでしたので、行進の許可が出ませんでした。しかし、ミサに与り、その後それぞれの教室に戻り、おいしい「一皿」を楽しみました。

皆様がお示しくださる親近感、関心、また私たちに信頼して任せてくださることに対し、この地で働くシスター達、神父様たち、また私たちと一緒に働いている人々全員で、特別な感謝「ARIGATO GOZAIMASU!」を申し上げます。皆様からの経済的支援は、ここの人々の苦痛を和らげ、教育を向上させるための手段これらの為に最後の1円までも使っているという事を信じていただければ幸いです。最後に一言、「BIG BROTHER」になってくださりありがとうございます。
神様だけがお与えくださる正当な報いと祝福を、皆様の上にお祈りいたします。
(BIG BROTHERの表現は、アフリカ地区で良く使われる表現で、家族全員の面倒をみる長男、お兄さん、と言うような意味です。)


 

「ご無沙汰しました」                   2016年9月8日

                                    宣教クララ修道会
                                                        シスター吉田富美子


  日本から戻り、早3か月。毎日、時間の後を追いかけて、息を切らせながら走っているような日々です。
ともに歩む会の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
すっかりご無沙汰してしまい、申し訳ありません。今年の夏の自然災害、世界中でいろいろ起こっていますが、日本の台風被害は、ちょっと信じられないような光景ですね。会員の皆様の中にも被災された方もおありでしょうか。1日も早い復興をお祈りしています。


   9月13日から、やっと正常の時間割で新学期が始まります。あと1週間ですので、今週は中1の入学試験が木曜日にあります。小学校卒業試験で270点以上ですとOLG校に願書を出すことが出来、学園の選抜試験を受けることが出来ます。先生も職員も、それに奨学金を受けている大学生もお手伝いに来て、明日は一日中、大勢の志願者で中学校の校庭はいっぱいになります。今年は、幸いにOLG小学校の卒業試験の結果がかなり良かったので、ほとんどの生徒が中学部に入学できそうだ、と言っていますが、どうでしょうか。エリサ校長は、「1点足りなくてもだめ、心を鬼にして選抜に当たる」そうです。今週中に、進級試験の結果が出ていない高1を除いて、全学年の受付が行われます。               
高校4年生の西アフリカ共通卒業試験は、それぞれのセンター校で9月いっぱい実施されています。
OLG校の生徒は、隣のムリアルド高校がセンターに当てられていますので、家政科の実習以外は、ムリアルド高校に行って試験を受けています。


   さて、ルンサですが、相変わらず、と申し上げたいのですが、町の状況は、日に日に悪くなっています。市場の商店も半分くらい閉まっています。鉱山閉鎖に伴い、36000人位あった人口は、15000人位(地元の人だけ)まで落ちていますので、買い物をする人が極端に減ってしまい、商売が成り立たないのが現状です。私たちも、多少なりとも地元の人の助けになればと、特に給食の買い物は、なるべくルンサの市場から買うようにしています。
もう一つの問題は、盗みが増えていることです。2日前にも中学校の校長室の窓が開けられましたが、幸い窓の近くには何も置いてありませんので、被害はありませんでした。今週は、新学期が13日から始まりますので、毎日各学年ごとに授業料を払いに来ます。きっちり2時には受付を終わらせ、集めたお金は、真っすぐ銀行に入金に行っています。何年か前に小学校と幼稚園の授業料、ほぼ1年分盗まれたことがありましたので、今は、現金は学校にも修道院にも置かないことにしています。「盗む」という事に関しては、悪いことをしているという意識が薄いようです。人のものには手を出さない。道端に落ちていた物を拾っても自分の物にしない、等など、幼いころからの躾け、教育が足りないようです。
あと何年かかるしょうか? このルンサで、子どもが道端で拾ったお金を、「シスター、道でお金を拾った、どうすればいい。」と尋ねてくるようになるのに。
同じ人間性を持っているのならば、このルンサの子どもも、日本の子どもと同じ資質を持っているはず。持っている資質が輝くには、輝けるように磨いてあげなければならないでしょう。それが教育でしょうね。その日が来るよう、皆様の御支援に支えられ、気を引き締めて子供たちの教育にまい進したいと思います。


 
新しくできた幼稚園のお手洗いにびっくりする園児たち