2015年10月19日月曜日

ノーベル賞受賞の大村教授に感謝



  日増しに秋が深まり、落ち葉掃きに追われる日々になりました。秋になれば改善されるかと期待していたシエラレオネのインターネット回線の接続状況は少しも良くならず、シスター吉田からもなかなかメールが届きません。そのような訳で、現地からのニュースは「会報9号」以降、新たなものはありません。
 


  さてこの秋は、3人の日本人がノーベル賞受賞という嬉しいニュースがありました。その中の大村智博士は、アフリカなどで多発している「河川盲目症」の治療薬である「イベルメクチン」を開発し、多くの人々を救ったことが評価されてのノーベル生理医学賞受賞でした。
 


  2008年に私どもがシエラレオネを訪問した際にも、長い杖を持って歩く盲目の人の姿を何人も見ました。首都フリータウンからの帰り道、ルンサの町の入り口付近の給油所で車を止めた際には、杖を手にして車に寄ってきた数名のお年寄りに「お金を恵んで欲しい」と手を差し出され、驚いたことがありました。その時のシスター根岸の説明では、幼いころから裸足で生活しているので、足から寄生虫が入って、それが原因で大人になって盲目になるとのことでした。


 

  インターネット情報によると、「河川盲目症」は、ブヨに咬まれることによって感染する寄生虫感染症とのことですので、シスター根岸の説明と合わせると、裸足の足にブヨが付き、そこから寄生虫が侵入するということなのでしょうか。現在、シエラレオネではイベルメクチンの効果がどの程度あがっているのかなど、シスター吉田に問い合わせ中ですので、はっきりしたことが分かればまたお知らせしたいと思います。
  いずれにしても、日本人の大村教授の研究成果が、私どもが友としているシエラレオネの人々に大きな恩恵を与えているということはとても嬉しいことだと思います。
 
 
  また、1015日の朝日新聞夕刊では、エボラ出血熱から回復した男性の精液にかなりの高い割合でエボラ出血熱のウイルスの遺伝子が確認されていることが報じられていました。
 
  会報9号に載せられたシスター吉田の報告に「国境なき医師団が最後の会見で『エボラ出血熱を完全に撲滅することは不可能』と述べた」と記されており、何故だろう?と思っていましたが、このような事情があってのことだったのでしょう。また、同じ報告の中でシスター吉田は「幸いに(OLG校内では)エボラからの回復者への差別も見られません。」と書いておられました。この状況がこれからも続きますようにと切に祈りたいと思います。
 
  エボラからの回復者の体液中にエボラ出血熱のウイルスの遺伝子が残存しているということは、「エボラ出血熱=死、では無かったのだ・・・、確かに多くの人が死んだが回復して元気になった人も多い・・・、エボラのトンネルを抜けるのももう直ぐだ・・・」と期待していた人々にとっては、更に次ぎのトンネルに突き落とされた思いになるのではないでしょうか。
 
  シエラレオネだけでなく、西アフリカ三ヵ国の人々が耐えなければならない苦しみに少しでも寄り添っていきたいと思います。
                     
                                        菅野勝治郎